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「金比羅と寛雄さん」 |
昔、南光坊の住職に越智寛雄というお坊さんがいました。寛雄さんは、かねてより金比羅宮に勧請をお願いしていました。勧請とは神仏の分身をもらい別の場所に移しまつることです。ところが、今までほかに勧請をしたことがないという理由で断られたのです。そこで、寛雄さんは金比羅へ行き、裏山から登って本殿に入り、秘密の勧請をしたのです。こうして金比羅の分身を南光坊に持ち帰り、護摩堂に安置しました。以来、金比羅さんの分身ということで、船乗りや漁師の人々から信仰されるようになりました。ある日のこと、寛雄さんが護摩堂でお務めをしようとすると、霊感を感じ金比羅の本殿で火事が起こっているのがわかりました。寛雄さんは本殿が焼けないように唱え、酒水を送り続けました。そのお陰で火事も消え、本殿も無事だったということです。 |